愛知県立大学学長インタビュー

今回は、長久手市にある愛知県立大学に取材に行ってお話を伺ってきました。取材日:2020年1月9日

愛知県立大学|長久手市

お話を伺ったのは、久冨木原学長(写真中央)、百瀬副学長(写真左)、戦略企画・広報室の吉田さん(写真右)です。

愛知県立大学|長久手市

Q1:大学の歴史について簡単に教えてください

本学は、元をたどると、1947年に設立された愛知県立女子専門学校と1968年に設立された愛知県立看護短期大学という二つの学校から成り立っています。そして、それぞれの学校が愛知県立大学と愛知県立看護大学として発展し、2009年に統合されて今のような形になりました。
現在は、外国語学部・日本文化学部・教育福祉学部・情報科学部・看護学部(守山キャンパス)の5学部と4つの研究科を持つ大学院で成り立っています。また、当初は名古屋市瑞穂区にあったキャンパスを1998年に長久手市(当時は長久手町)に移転しました。

Q2:県立大学としての役割をどのようにお考えですか?

大学としての役割は色々とありますが、地域の課題を受け止めてそれに応えていく県立大学としての役割ということで言えば、大きく二つあると考えています。
一つは、人材を育てるということ。本学では、卒業生が地元に就職することが多く、立派な社会人として送り出すことが、そのまま地域貢献にも繋がるので非常に大切だと考えています。
もう一つは、地域防災への貢献です。本学には地震そのものを研究する学部はないのですが、防災・減災・危機管理という点においては、大学として果たすべき役割が多々あると思っています。
その上で一番大切だと考えているのは災害弱者を救うということです。ここでいう災害弱者というのは、例えば日本語がよく理解できていない外国人の方や乳幼児たちが当てはまると思います。
前者に対しては、外国語学部が中心となって災害情報の翻訳、怪我をした際の病院への誘導や負傷状況の説明なども活かされると思います。
後者に対しては、看護学部や教育福祉学部が中心となって、自力での避難が難しい小さい子供達や子供と一緒に避難しなければならないその親たちをいかにして守るかということを日頃から考えていかないといけないので、実際に地域に出て、普及活動を行っています。
その他の学部にもそれぞれの特性に合わせた貢献の仕方がありますし、5学部が連携することによって更に有意義な活動に繋がると考えています。

Q3:学長にとっての目標を教えていただけますか?

心に留めておきたい目標があります。それは「人をつなぎ、愛知・世界を結ぶ」ということです。
これはグローバルな時代だからこそ、愛知に軸足を置きつつさまざまな地域の人々と顔の見える繋がりを持ち、世界の諸地域に発信し相互交流を深めることによってよりよい社会の創造に貢献するということです。
それを実現するために、学生の留学は勿論ですが、教職員も世界に出て学び発信しないといけないと考えて、学長・副学長も含め積極的に海外に出て行き、自分の研究を世界に発信したりしています。
今後は行った先で出会った先生との共同研究や、継続的で深い交流ができていければいいなと思います。

愛知県立大学|長久手市

Q4:教育方針についてはいかがでしょうか?

良質な研究・教育をするのは勿論ですが、学生には「自分で見て、自分で調べて、自分で考えて、自分で判断できる」人になって欲しいと考えています。
どうしてもテストの点数や偏差値など数字的なもので判断されがちですが、数字はあくまでも目安で、個人個人が持つ能力を伸ばし、自分の力で生きていく力を養うことが肝要だと思います。その為には教養教育が大切だと考えています。
今までは多くの学生が教養課程の必要な単位を2年間で取得し終え、専門課程に移行していましたが、2021年度からは4年間を通じて教養教育科目を履修できるプログラムに変更する予定です。理由としては、就職したらスペシャリストとしてよりはゼネラリストとして働く方がほとんどで、その為には教養教育が必要だということもありますし、専門課程を学びながら教養教育も受けることで、専門を通して自分の世界を広げ、発信していくことが専門を活かすことにもつながると考えるからです。
ただ、教養教育というのは教員自身が試されることでもあるので、教員もしっかりと学び、成長していく場になると思います。

Q5:看護学部の教授でもある副学長に看護学部の特長についてお聞きしたいと思います。

看護学部は、名古屋市守山区にあります。看護学教育においては、長い歴史があり、優秀な学生を多く輩出しているので、県内のさまざまな場所で要職に就いている人も多く、病院等の施設からも県大看護学部の学生を求める声を多くいただいています。
教育方針としては、実践教育に重きを置いています。
ただ、それだけではなく、看護行為を行う上で根拠を持った行為につなげるという意味で、論理的な思考に基づいた看護実践ということを大事にしています。この看護行為がなぜ必要なのか、さらに個々の患者さんにとってなぜ必要なのかということを常に考えながら看護行為を行えるように教育しています。
また、医療の進歩は目覚ましくニーズも多様化しているので、常に最新の医療について学べるようにも意識しています。
本学では、主に看護師になるための教育を4年間みっちりと行い、大学院では、保健師教育(準備中)、助産師教育をより専門的な内容で学べるようになっています。この取り組みは全国的に見ても先駆的で、他校の卒業生であっても改めて本学の大学院に学びに来るという方もいます。

Q6:では、再び学長に伺います。上記の他に、実施しているまたは予定している新しい取り組みはありますか?

一つは、姉妹校の愛知県立芸術大学との連携を深めていきたいと考えています。
先月iCoToBa(アイコトバ)という多言語学習センターで、昼休みに芸大の油絵の先生によるセミナーを開催したのですが、非常に盛況でした。
今後はこういった試みを通常の教養教育にも広げて増やしていきたいと考えています。

愛知県立大学|長久手市

iCoToBa(アイコトバ)

二つ目は、例えば日本文化学部と芸大がそれぞれの知見を活かして破損した古文書の修復作業を行うなどの取り組みも今後増やしていきたいと思います。
三つ目として、連合愛知様からの申し出があり、寄付講座を開催しましたが、今後もこういった社会とつながる取り組みを続けていきたいと思います。
四つ目は、東海地域の企業と学生が共同してものづくりの良さを発信するためのプロジェクトとして「地域ものづくり学生共同プロジェクト」という専門科目を実施してきたのですが、これを2021年度からは教養教育のプログラムとして採り入れ、地元企業と学生が一体となって課題解決に取り組むということを行っていく予定です。

Q7:愛知県立大学が長久手市にある意義についてはどのようにお考えですか?

元々自然に恵まれている長久手ですが、若い人たちが暮らす場所としてもどんどん発展してきているし、学園都市として芸術や文化の発信地としても非常にいい場所だと思います。
さらに言えば、2022年にジブリパークがオープン予定ということもあり、日本が世界に誇るアニメという文化の発信地としても魅力がありますね。
長久手市内には4大学(県大・芸大の他、愛知医科大学・愛知淑徳大学)あり、その4大学が共同してさまざまな事業に取り組む長久手市4大学連携推進事業「4U(ふぉーゆー)」という活動も始めており、地域の発展に寄与していきたいと考えています。
また、本学では地域連携センターというものも設けており、長久手市の会議にも毎月参加したり、「市民が大学に何を求めているか」といったアンケート調査を行ったりして、ニーズや求められる役割の把握に努めながら、実際に行動して行けるように取り組んでいます。

Q8:一般の方が利用できる施設や講座・イベントなどはありますか?

公開講座として学術講演会やミニ公開講座、また守山キャンパスでは小さなお子様向けのイベントも行っております。いずれの場合も申し込みは必要ですが、基本的に無料で参加できますので、詳しくは下記のURLをご参照ください。
https://www.bur.aichi-pu.ac.jp/renkei/

学内で一般の方も利用できる施設として図書館があります。免許証などの身分証明書があれば、どなたでも館内での閲覧が可能です。愛知県在住または勤務している方は貸出も可能です。

愛知県立大学|長久手市

図書館

また、キャンパス内の食堂も一般利用が可能なので、図書館を利用した帰りにランチするといった使い方もできますよ。

愛知県立大学|長久手市

外から見た食堂

愛知県立大学|長久手市

水辺の風景を見ながら食事できます

以上、愛知県立大学にてお話を伺ってきました。
学長・副学長のお話を聞いたり、キャンパス内を歩いたりしているうちに、自分の学生時代以上に学んでみたい気持ちが強くなってきました。
大学ではさまざまな取り組みをしているし、地域への貢献ということにも熱心に取り組まれていますが、まだまだ情報が行き渡っていないのも一つの課題だと仰ってましたので、このサイトでもまた随時情報を発信していきたいと思います。

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